ENGLISH

【英語学習】スティーブ・ジョブズの名演説を読んでみよう【解説】

タブレット画面に映るスティーブ・ジョブズ

英語のスピーチを英語学習に活用することはとてもおすすめできます。

そこで今回は、スティーブ・ジョブズが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行った名スピーチを振り返ってみようと思います。

彼は、2011年に56歳という若さでこの世を去りましたが、彼の手掛けた製品は世界中の人々を熱狂させ、今回紹介する彼のスピーチもまた、彼がこの世を去った後も感動的な名スピーチとして広く世に語り継がれています。

全文を紹介するとめちゃくちゃ長くなってしまうのでポイントだけ抜粋しています。この機会に是非、彼が語った内容に触れてみませんか?

今も語り継がれるスティーブ・ジョブズの感動的スピーチ

2005年にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチです。彼自身の生い立ちや闘病生活などを織り交ぜながら、人生観を余すところなく語り、感動的なスピーチとして約15年が経ったいまも語り継がれています。

冒頭部分

I am honored to be with you today at your commencement from one of the finest universities in the world. I never graduated from college. Truth be told, this is the closest I’ve ever gotten to a college graduation. Today I want to tell you three stories from my life. That’s it. No big deal. Just three stories.

「私は今日ここで、世界で最も優れた大学の一校である貴校の卒業式に皆さんと共に同席できることを誇りに思います。実を言うと、私は大学を卒業していません。今日という日が、わたしの大学の卒業式に今までで最も近い経験です。今日は、自分の人生の中から3つの話を皆さんにお話したいと思います。それだけの事です。大したことはありません。たった3つのお話です。」

まずは本題に入る前の挨拶として、この英文があります。ポイントとして太字部分を解説します。

「one of the 最上級」は、「最も~なうちのひとつ」という意味です。本文では、one of the finest universityとなっていますので、最も優れた大学のひとつという意味になります。形容詞を最上級にするためには、「1:単語の語尾にestをつける」「2:most+形容詞にする」「3:不規則変化(専用の単語になる。good→bestなど)」の3つのパターンがありますね。今回は1のパターンですね。

never(ネバー)は、動詞の前に置くことで否定す意味を否定する役割があります。「graduate from~」は「~を卒業する」という意味なので、never graduatedで卒業しなかったという意味になります。もしneverがついていなかったら、卒業したことになります。

No big dealとは、「大したことでない」という意味です。deal(ディール)には、「商談・取り引き」という意味があり、そのことから「No big deal⇒大きな商談ではない⇒大したことではない」という意味で日常会話の中でも使われるようになりました。

以降、彼はこのスピーチの中で以下の3つのポイントについて話すと言っています。

  • Connecting the dots.(点と点を繋げること)
  • Love and loss.(愛と喪失)
  • Death.(死について)

それぞれ順を追ってポイントを押さえながら読んでいきたいと思います。

The first story is about connecting the dots.(最初の話は、点と点を繋ぐことについての話です)

Again, you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. Because believing the dots will connect down the road, it gives you confidence to follow your heart; even it leads you off the well-worn path. And that will make all the difference.

「繰り返しますが、将来を見据えて点と点を繋ぐことはできません。振り返ってみた時にしか、点と点を繋げる事は出来ないのです。ですから、あなた方は、点と点が将来どういう形か分からないが互いに結びつくと信じなければなりません。自分の根性、運命、人生、カルマ、それが何であれ、信じなくてはならないのです。なぜなら、点と点が将来に結びつくと信ずる事は、あなたに自分の心に従う自信をもたらすからです。たとえそれが、あなたを多くの人が通る道から外れる道へ導くとしても、それが大きな違いを生み出すのです。 」

ここでは、彼の生い立ちのエピソードを交えながら話が進みます。彼の両親の話、彼が大学に意義を見い出せなくなり中退した話、その後自分の好奇心と直感でたまたま出会った多くのものが、後にマッキントッシュ(アップル社のパソコン)設計のアイデアに活かされた話。これらをもとに、点と点を繋げるというテーマについて話がされます。

本文は締めくくり部分になります。ポイントとして太字部分を解説します。

look forwardとlook backwardはセットで覚えておくといいです。forwardは前進、backwardは後退を意味します。物理的な前進・後退だけでなく、将来・過去というように時間感覚として使うこともできます。本文中では、後者の意味で使われていますね。つまり、look forwardは将来を見据える、look backwardは過去を振り返るという意味です。

have to~(ハフトゥー)は頻繁に出てくる必須の熟語です。動詞の前に置くことで「~しなければならない」という意味になります。「must(マスト)~」も全く同じ意味ですのでセットで覚えるといいですね。have toやmustの後に置く動詞は必ず原形になるというのもポイントです。

whateverは、「何でもいい(どうでもいい)」という意味です。日常会話の中でもよく登場します。「What do you wanna eat?(ご飯何食べたい?)」「whatever.(なんでもいいよ)」みたいな感じです。ちょっと投げやりな感じが出ます。「whatever you want.(あなたが食べたいものならなんでもいいよ)」とちょっと手を加えてあげると気持ちもう少し丁寧な感じが出ますね。

My second story is about love and loss.(次の話は、愛と喪失についての話です)

Sometimes life hits you in the head with a brick. Don’t lose faith. I’m convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You’ve got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven’t found it yet, keep looking. And don’t settle. As with all matters of the heart, you’ll know when you find it. And, like any great relationship, it just gets better and better as the years roll on. So keep looking. Don’t settle.

「時として、人生では頭をレンガで殴られるような事態に見舞われます。信念を失わないで下さい。私が続けて来れたのは、自分のやっていることが好きだったというたったそれだけの事だったということを、私は自分自身でよく分かっています。皆さんも自分が好きなことを見つけなければなりません。そして、このことは皆さんの恋人とのように仕事に対しても同じ真実のことなのです。仕事は皆さんの人生の大部分を占めていくことになりますが、本当に自分の気持ちが満たされる唯一の道は、皆さんが素晴らしいと信ずる仕事をすることにあるのです。そして、素晴らしい仕事をする唯一の道はあなたがしている仕事を愛することなのです。もしあなたがまだそれを見つけていないのなら、探し続けてください。立ち止まってはいけません。心のすべての事柄がそうであるように、皆さんがそれを見つけた時、皆さんにはそれがわかるはずです。そして、それは素晴らしい関係のように年を経るにつれどんどん良くなっていくのです。ですから、探し続けてください。立ち止まってはいけないのです。

ここでは、彼がアップルを立ち上げ成功させた話、そしてアップルを追い出されるという悲劇の話。そしてそんな中、信念を失わず自分の好きなことを信じて新たなスタートをきり、自分の立ち上げた会社の技術がアップルに買収されることで自身もアップルに戻ることになったというダイナミックな話が展開されます。

「You’ve got to~(ユーヴガットゥー)」は、「~しなければならない」という意味です。ひとつ前の節で紹介した「have to~」「must~」と同じような意味ですが、さらに強調させた話し言葉独特の言い方になります。本文中では、自分の好きなことを見つけなければならない!ということを強く伝えています。

「the only way to~is~」は、「~する唯一の方法は~」という意味です。wayには道という意味以外にも「方法・手段」という意味があります。

better and betterは、「ますますよくなる」という意味です。「比較級 and 比較級」という文法で、日常会話でもよく使います。形容詞を比較級にするには、 「1:単語の語尾にerをつける」「2:more+形容詞にする」「3:不規則変化(専用の単語になる。good→betterなど)」の3つのパターンがあります。前の節で紹介している最上級とセットで覚えるといいですね。

「比較級 and 比較級」で使う比較級は、基本的にパターン1かパターン2にものしか使うことができません。「more+形容詞 and more+形容詞」でも何が言いたいかはわかりますが基本的には使わないです。例文としては、「It’s getting colder and colder.(どんどん寒くなってきてる)」などがあります。単に比較級ひとつでもいいのですが、一時的でなくどんどんどんどん自体がそっちに向かっていくという状況を言い表したい時に使います。

「Keep ~ing」は、「~し続ける」という意味です。~の部分の動詞を変えて非常に頻繁に登場します。「Don’t ~」は「~してはいけない」という意味なので「Don’t settle」は「settleするな」ですね。「立ち止まるな」と訳しましたが、settleには「落ち着く、安定する」というニュアンスがあり、単にストップとはまたニュアンスが違います。今いる場所に落ち着いてしまってはいけない、考えることを辞めてはいけないというようなメッセージが汲み取れます。金言ですね。

次が最後の3つめの話です。

The last story is about death.(最後の話は、死についての話です)

When I was 17, I read a quote that went something like: “If you live each day as if it was your last, someday you’ll most certainly be right.” It made an impression on me, and since then, for the past 33 years, I have looked in the mirror every morning and asked myself: “If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?” And whenever the answer has been “No” for too many days in a row, I know I need to change something.

「私が17歳の頃、次のような引用文を読みました。”もしあなたが毎日、今日が人生最後の日だと思って生きたとするなら、いつかまさしく、その通りになるだろう。” その言葉はわたしにとって印象的でした。そして、その時以来33年間になりますが、私は毎朝鏡を覗き込んで自分自身に問いかけて来ました。”もしも、今日が私の人生最期の日だとしたら、今日私は、今からやろうすることをしたいと思うだろうか。” そして、その答えがノーの日が何日も続いている時は、私には何かを変える必要があると分かるのです。」

Remembering that I’ll be dead soon is the most important tool I’ve ever encountered to help me make the big choices in life. Because almost everything — all external expectations, all pride, all fear of embarrassment or failure – these things just fall away in the face of death, leaving only what is truly important. Remembering that you are going to die is the best way I know to avoid the trap of thinking you have something to lose. You are already naked. There is no reason not to follow your heart.

「自分がやがて死ぬという意識を持つことは、自分の人生で重大な選択をするために助けとなる、私が人生で出会った最も重要なツールでした。というのは、ほとんど全ての事柄、たとえば周囲から自分に向けられた期待や誇り、屈辱を受けたり挫折することへの恐れなど、これらの事柄は死に臨んだ時にはただ消え失せ、真に大切なもののみが残るからです。私たちが死へ向かっていると意識する事は、何かを失ってしまうのではないかと考える思考の罠を避ける私の知る限りの最善策なのです。私たちはすでに何も身に付けていないのです。自分の心に従わないとする理由など、どこにもないのです。」

最期に、自分自身の闘病生活について交えながら死についての話がされます。3つのポイントの中でも、特に感情を揺さぶり勇気づけられるような話になっています。

本文中にある以下のメッセージは多くの人の心を揺さぶった名言だと思いますが、この文章を見てピンと来た人はきっと受験勉強を頑張った人でしょう。

“If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?”

これは、「仮定法過去」という文法です。受験勉強の中で必ず出てくる文法のひとつに時制があったはずです、まさしくそれになります。仮定法過去とは、事実とは異なることを表す用法でしたね。

「I wish I were a bird.(もし私が鳥だったらなあ)」 というフレーズが一時期CMでよく流れていたのが印象に残っています。

基本形は、【If + 主語 + 動詞の過去形 ~, 主語 + would(should、could、might)+ 動詞の原形】です。

本文中では、「(今日が人生最期の日ではないけど)もしも人生最期の日だったとしたら、今からしようとしていることをしたいと思うか?」という意味です。

「about to ~」は、「(今まさに)~しようとしている」という意味で、これも使用頻度の高い言葉です。

スピーチはこの後、自らの闘病生活とそれを乗り越えた話に繋がっていき、最後には以下のメッセージで演説は締めくくられました。

Stay hungry. Stay foolish. 『ハングリーであれ、愚か者であれ。

最後に

アップル社の建物についている会社ロゴ

いかがでしたか?とても感動的で心に響く素晴らしい内容だったと思います。 何回聴いても心を揺さぶられますね。彼がもし生きていたら、一体世界にどんな驚きと喜び、そして感動を与えていたのでしょうか。

中身に興味が持てると、英語学習も捗りませんか?学習のモチベーションを維持する秘訣は、興味を持ち続けるということです。その手段一つとして、偉人・著名人の言葉に触れることはとってもいい方法だと思います。今後も、シリーズ?のような形でスピーチや演説から学ぶ英語を紹介していきたいと思います。

最後に、スティーブ・ジョブズの名言を紹介して記事を終わります。

Being the richest man in the cemetery doesn’t matter to me. Going to bed at night saying we’ve done something wonderful, that’s what matters to me.

「墓場で金持ちになることには興味はない。夜寝る時に『素晴らしいことをしたんだ』と言えることが私にとって大切なのだ」