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【平等と公平】多様性を考えるためにも理解したい意味の違い

男性と女性を表す青色の駒と赤色の駒

世はまさに大多様性時代です。昨今、企業にも社会にも多様性が求められています。

日本人は島国という特性上、欧米などの諸外国に比べると閉鎖的なコミュニティを築いてきた歴史があります。それも一因としてあると思うのですが、日本人は多様性を受け入れるのが苦手だと言われています。

わたしは、多様性について考える際に「平等」と「公平」という言葉に対する理解が鍵になっているように感じました。

そこで今回は、この2つの意味の違いについて例を交えながら再確認してみたいと思います。

勘違いしている人が多い「平等」と「公平」違い

あなたは「平等」と「公平」の違いを説明できますか?普段生活していて、「平等」と「公平」が混同してしまっているなと感じることが多いです。

「平等」=「Equality」

英語にしてみると言葉の意味が理解しやすくなることがしばしばあります。ということで、英語にしてみましょう。「平等」は英語にすると「Equality(イークオリティ)」です。イコール(=)の名詞形ですね。つまり、平等とはイコールのこと、同じという意味です。

「平等」とは、差別や偏りがなくみなが一様に等しいこと。

「公平」=「Fairness」

「公平」についても同様に英語にしてみます。「公平」を英語にすると「Fairness(フェアネス)」となります。フェアという言葉はよく使いますね。それの名詞形です。

では、フェアとは平等のことでしょうか?違いますね。フェアであるというのは、えこひいきなしに同じ条件のもとで戦うということです。

「公平」とは、一定の集団において、すべてを同じ条件のもと偏ることなく同様に扱うこと。

Case study:少し前に話題になった「かけっこ問題」を考える

何年か前に話題になった、小学生のかけっこに関する問題を覚えていますか?議論になったのは、みんなが手を繋いで一斉にゴールすることへの是非です。

最近ではすっぱり見なくなりましたが、現在でも行われている場所もあるそうです。この問題は、「平等」と「公平」について考えるケーススタディとしてとてもいいと思いました。

一斉にゴールは、「平等」のイメージ

私の意見では、一斉にゴールには反対です。なぜなら、それは「公平」でないからです。人は生まれながらに得意な分野に差があります。差があるからこそ、価値が生まれると思うのですが、その差を認めないというのがこの考え方です。

このような案を提唱する方は、「順位に差がつく=良くない」という考えが前提にあるのでしょうが、順位に差がつくことは全く持って構わないとわたしは思います。 1位の子は足が速かった。それだけ。 大切なのは、それぞれの得意分野を見つけてあげることです。一斉にゴールするぐらいなら、かけっこ自体辞めてしまえばいいのではと思います。

同時にスタートが「公平」のイメージ

では、「公平」はどういうことかというと、「同時にスタートすること」だと考えるとイメージしやすいとわたしは考えます。ポイントは、同じ条件で戦うということです。生まれながらに足の速さに差が生まれるのは、仕方がありません。それを認めましょう。その差を、条件に差をつけて無理やり埋めようとするのは、多様性を認められていないということではないでしょうか。

会社の給料も実は・・・

少し余談ですが、会社の給料について考える際にもポイントになりますね。あなたは、どんなに努力して成果を上げても、何の成果もあげていない社員と同じ給料しかもらえなかったらどう思いますか?社員みんなが一律同じ給料。これは「平等」かもしれませんが、果たして「公平」でしょうか?

これは「不公平」です。成果を上げた人は報われるべきです。そこに対して、成果を上げていない人が文句を言える資格はありません。「成果主義」こそが正義だと主張する気はありません。成果主義の弊害もあります。しかし、日本の会社の制度は旧態依然とした平等色が強い傾向があるので、時代に合わせてうまくブレンドして欲しいですね。

何事にもフェアであることが大切だと思う

わたしは、何事にもフェアであることが大切だと思っています。フェアであるということは、必ずしも平等ということではありません。しかし、そこに目くじらを立てずにフェアであるということにフォーカスすることで、多様な時代を受け入れるヒントが見えてくるかもしれません。

あなたがいま「不公平」だと思っていることは、実は「不公平」ではなく「不平等」のことではありませんか?「平等」と「公平」の違いをよく理解して、これから物事を考える際の一つの材料にしてみてください。世の中の見え方が少し変わってくるかも知れませんよ。